医療コンサルタントの種類 それぞれの強み弱みを医師が解説

医療コンサルタントに必要な力とは

医療コンサルタントになるのに、必要な資格は一切ありません。誰でも医療コンサルタントを名乗れます。民間資格は存在しますが、専門知識をもって親身にサポートしてくれる医療コンサルタントはあまり多くありません。特に、診療報酬についてやたら詳しいけれども現場をよくわかっていない自称プロの医療コンサルタントや、最終的に紹介手数料を得ようとする会社には注意しなければなりません。小手先のテクニックだけではなく、患者と医療従事者と経営、それぞれの満足度が高いサポートを得られることが大切です。

目次

診療報酬制度の活用や経費削減だけでは差がつかない!
〜それぞれの強みを理解してコンサルタント会社を選びましょう〜

医療コンサルタントの種類

医療コンサルタントの多くはこのような分類になります。

医療コンサルタントの分類

「医療コンサルタントの種類」
  • 人材紹介会社
  • 大手コンサルタント会社
  • 医薬品卸売業者
  • 病院事務出身者
  • 臨床医の作る医療コンサルタント
医療コンサルタントの民間資格」
  • 認定登録 医業経営コンサルタント
  • 医療経営士

医療コンサルタントの各社はそれぞれ強みと弱点があります。また規模の大小もあるので、それぞれのメリット、デメリットを把握して選んでいかなければなりません。

医療コンサルタントは資格が不要で誰でも名乗れます。医業経営コンサルタントと医療経営士はそれぞれ民間機関が作る資格で、教材費、受講料、試験料などを払い、試験に合格することで名乗れますが、試験にかかる費用、合格後の登録料や年会費が高く、あえて資格をとらないコンサルタント会社も多くあります。もちろん一定の知識レベルを保証しようとしている民間資格であり参考にはなりますが、どのように信念をもってサポートしてくれるかをきちんと見極めなければなりません

①人材紹介会社による医療コンサルタント

大手の人材紹介会社は、大きなネットワークを武器に、これから開業を目指している医師や看護師に向けて、さまざまなコンサルタント業務を展開しています。こういった企業は各業界との仲介業者として、総合的なマネージメントをサポートしてくれます。

そのため開業までに時間のない人が、最短で準備を整えるには、非常に力になります。

しかし、同時に手数料が高いというのが難点になります。例えば土地探しや建築業者、税理士、医療機器メーカーとのやりとりを代行してくれる分、仲介コストがかかってきます。利用する側の費用負担は無いように見えますが、各業者がこの仲介業者に払う手数料なども存在するので、紹介先の業者と直接の費用交渉などがしにくくなります

建築業者、医療機器メーカー、税理士などは、インターネットで検索すればいくらでも出てくる世の中ですので、自分で見つけるのも難しくありません。特に長い付き合いになる方々ですので、自分の目でしっかりと判断した方がいいと思います。こういった大切な判断を丸投げしてしまうような開業医は、今後たくさんある大事な経営判断も他人任せになってしまうのではと心配になります。

そして、人材紹介会社ですから、医師や看護師などの求人には強いですが、同時に人材紹介にかかる手数料があります。特に初期の手数料は抑えられていても、継続的にかかってくる手数料もありますから、トータルコストを十分に検討する必要があります。

②大手コンサルタント会社の医療コンサルタント

大手のコンサルタント会社や監査法人にも、医療コンサルタント部門があります。これらの会社は様々なビジネスコンサルティングを通して、非常に多くの経験とデータを持っており、病院経営にとって非常に有効なアドバイスができる可能性があります。

こういった会社は大きな会社相手へのコンサルティングを強みとしていますので、中規模以上の病院で、経営改善へ抜本的なアドバイスが欲しいときや、病院のM&Aなど大規模な変化を起こしたいときには非常に役立つでしょう。

しかしほとんどの医療機関は小規模であり、こういったコンサルタント会社への依頼はハードルが高いです。等身大のサポートを得られる場所を探すのが良いでしょう。

医薬品卸業者による医療コンサルタント

医薬品卸売業者による医療コンサルタントも存在します。卸売業者ですから、医薬品や医療機器の手配には強いです。複雑な仕入れルートなども調整してくれますので、特に開業時には役立つでしょう。またその会社が扱う医療機器に関しては、安価で提供してくれる可能性もあります。

しかしこういった会社の目的は、あくまで自分の取り扱う医療機器の販売先を獲得することにあります。開業後に医療機器の納入業者を変更したいと思っても難しくなってしまいます。また安く仕入れられるといっても、制度改正や円安、原料コスト上昇などの影響から、値引きはどんどん渋くなっています。時間はかかりますが、医療機器の仕入れ先などは非常に大切なので、一つ一つ選んでいきたいところです。

④病院事務出身の医療コンサルタント

もともと医療機関の事務長などをされていた方で、医療コンサルタントを起業されている方もいらっしゃいます。実際にこれまでの勤務先で、経営改善を行ってきた実績と自信がある方が多く、似た境遇の医療機関でしたら良いアドバイスがもらえる可能性があります

しかし、あくまで事務方であり、臨床現場のスタッフがどういう気持ちでどう考えて行動しているのかまで把握していた方はごく少数です。病院に勤務していても、事務長は管理職とは密に連絡を取っていますが、臨床の先頭に立つ医師や看護師とはほとんど接点はありません

また、これまでいた医療機関でうまく経営改善ができた、そのノウハウを提供することが中心になりますので、幅の広さという面では、やはり大手コンサルなどには劣ってしまいます

⑤医師から医療コンサルタントへの転身

稀なケースではありますが、臨床経験豊富な医師が、臨床に加えて経営の知識と経験をつけて、医療コンサルタントへ転身することがあります。臨床のスペシャリストであり、経営が臨床現場へどう落とし込まれているかをよく知っています。経営の方針が、現場へどのような影響が出るのかを見てきています。そして、実際に働く医療従事者が辞めてしまう原因もわかります。

疾患や手技に関してもよく把握しており、患者さんがどういうところから流入し、治療をうけ、どのような流れで退院していくのかを当然のように知っています。そして、患者や家族にどう対応したら満足度がアップするのかも把握しています。そのため、経営だけでなく、患者や医療従事者の満足度アップのサポートもしてくれます。

 大手の企業ではありませんので、独自のネットワークは小さく、必要な業者や人材をどんどん紹介してもらうのは難しいです。そのため各業者への調整なども丸投げしてお任せというのはあまりスムーズにいかないかもしません。しかし他の業者との利益相反がないことがほとんどですので、本当に良い業者や方法を、一緒に選択をしていくパートナーとしては有用かもしれません。

結論

医療コンサルタントは特に必要な資格はなく、誰でも名乗れます。

基本的な経費節減や、診療報酬を最大限活用するということを売りにしているコンサルタント業者もありますが、基本的にこれらのことはすでにやっている医療機関がほとんどだと思います。

そのうえで、各コンサルタント会社は成り立ちから以下のような分類ができます。

・人材紹介会社:各業者とのネットワークが豊富だが、手数料が高いのがデメリット

・大手コンサルタント会社:規模の大きい病院向け、契約単価が高い

・医薬品卸売業者:流通ネットワークにつよい、開業が専門

・病院事務出身者:実際の経営を知っているが、臨床までは強くないことが多い。

・臨床医の作る医療コンサルタント:臨床や働き手の気持ちが分かる、ネットワークが小さい

それぞれのコンサルタント会社の強みを理解し、活用することをおすすめします。

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この記事を書いた人

FamTip 稗田翔平 FamTip 稗田翔平 代表 医師

医師として複数の中核病院勤務後に医療コンサルタントとして合同会社FamTipを設立。医療機関への経営コンサルタント、ベンチャー企業の医療分野進出サポート、Webデザイン、SEO対策などを行っている。
◆専門は予防医療、循環器内科、医療経営
◆北海道八雲町出身、札幌医科大学医学部卒業

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