医療コンサルタントとは 経営と臨床に精通した医師が解説
医療コンサルタントの役割は、新規開業サポートと、既存の医療機関に対して経費節減や人材紹介などがあります。しかし従来の医療コンサルタントでは、現場の目線や持続可能な仕組みを作るサポートが足りませんでした。少子高齢化と人口減少が避けられない日本において、生き残れる医療機関、生き残れない医療機関の差の何か。今後の医療コンサルタントは、それぞれの医療機関の持つ特徴と弱点を見出して、実現可能、持続可能な形への変容をサポートすることが大切です。
日本の医療の将来を見据え、従来の医療コンサルタントの問題点と、今後求められる医療コンサルタントの姿について、経営と臨床に精通した医師が解説していきます。
◆人件費削減や経費削減だけではない。医療コンサルタントに求められる姿を解説。
医療コンサルタントとは
医療コンサルタントとは、今後開業を考えている医師や看護師をサポートする役割と、既存の医療機関に対して経営改善や事業拡大の助言をする役割などがあります。
「医療コンサルタントの役割」
- 医療圏調査
- 物件選び
- 税理士や弁護士などの紹介
- 医師や看護師の人材集め
- 医療機器の斡旋
- 資金調達のサポート
- 経費削減のアドバイス
- 人材紹介
- M&Aや新規事業投資などの助言
従来の医療コンサルタントの問題点
このように、医療コンサルタントは多彩な業務をおこなっています。
しかし、医療機関の現場を経験したコンサルタントはほとんどいません。実際に、医師や看護師をはじめとする医療従事者がどのように働き、どのように悩み苦しんでいるのかを理解できていないことが多いです。つまり、臨床の質や患者満足度、医療従事者の満足度が置き去りにされている傾向があります。経費や人件費を削減するだけでは、現場の反発をうけて人が離れていきます。そこに人材紹介をして多額の紹介手数料を請求されるという悪循環に陥ってしまいます。
今後の日本の医療で生き残っていくためには何が必要か
少子高齢化と人口減少により、今後日本の医療は縮小させられ、医療機関が生き残るためには非常に多くのハードルがあります。そのなかでも人件費や、紹介会社へ払う手数料は非常に大きいため、貴重な人材を大切にする必要があります。現場の医療従事者の考えを理解し、彼らの力を最大限に引き出せる環境づくりが大切です。そして、現場のスタッフにも、経営の難しさや課題を知ってもらうことで、経営への参加も促進させる必要があります。
今後求められる医療コンサルタントの姿
患者と医療従事者と経営側がwin-win-winでなければ、長い目線での持続は不可能です。経営を優先して、医療従事者の負担が過剰になったり、患者が危険にさらされるのは許されません。医療コンサルタントは、経営や制度的な収益ポイントを増やすことはもちろんですが、経費削減の際には、現場へどのような影響が出るかを、きちんと評価できなければなりません。例えば単に需要が少ないからという理由で医療機器を減らすのは、いざ必要となったときに問題となりえます。そのためには、臨床的な知識や経験が伴った、医療コンサルタントでなければならないのです。
結論
従来の医療コンサルタントは、雑多な業務の代行と、経費節減や人材紹介の数を売りにしていました。しかし、今後の日本では、多くの医療機関が経営に行き詰ります。単なる数字だけを追い求めると、人が離れていき、持続的な経営は難しくなります。医療コンサルタントは経営と臨床現場の両方を意識した視線で、サポートしていかなければなりません。
少子高齢化、人口減少のなか、持続可能な医療機関の経営をサポートをするのが、医療コンサルタントの役割です。短期的な数字を追い求めるだけでなく、日本の医療の今後と、持続可能な医療機関の姿を考えなければなりません。経営と現場の両方の目線を持った医療コンサルタントが求められます。